はじめに
賃貸住宅の退去後の清掃作業、あるいはオフィスビルの退去後の現状回復作業などでは、壁面のビニールクロスを以前のように張り替えるのではなく、洗浄で何とかして欲しいという要望が多くなっています。
その理由として考えられるのが、以下の点です。
① 経済的理由
・借主は、敷金や保証金をできるだけ多く返して欲しい。
・貸主も張替えより洗浄で経費を安く抑えたい。
・一般に張替え単価800円から1,200円/㎡
② 環境問題
・剥がしたビニールクロスを焼却するとダイオキシンが発生。
・残材処理費だけでもばかにならない。
・何でも取替えではなく、ものを大切に長く使うという時代的要請。
以上のような理由からビニールクロスの洗浄に取り組まれる業者様が増えておられますが、では実際のところはどうかと言いますと、あまりうまくいっていないというのが現状のようです。
クロス洗浄の現状
① 手作業による方法(洗剤とウエス)
○ 機械を使わないので安価で入手でき、簡単に始められる。
× あまりきれいにならない。
× ムラができやすい。(手のひらの部分部分で力のかかり具合が違うため)
× 作業効率が悪いため時間がかかる。
× 見た目のパフォーマンスが良くない。(プロの仕事に見えない。)
② 塩素を用いる泡洗浄方式(ほとんどがフランチャイズ方式)
○ うまくいけば非常にきれいになる。(日焼け変色を解決できる場合もある)
× 泡の掛け具合でムラになりやすい。それを防ごうと何度も洗浄すると時間がかかる。
× 経年劣化したクロスでは表面を傷めてしまう。(粉をふく場合あり)
× 部屋中養生しないとビショビショになるか、漂白脱色してしまう。
× 作業する人が大変。防護マスク、メガネをしても頭が痛くなる。
× 作業後中和しないと後から黄変することがある。
× 施工中はもとより、後々まで塩素臭が残る。
× コンプレッサー、リンサー等機械が塩素の影響で故障する。
× フランチャイズ方式は異常に初期投資が高い。
(使用方法を教えるだけで60万、 総額で280万、月々ロイヤリティが3万という会社もある。)
③ 塩素を用いない酵素洗剤などの塗布洗浄方式
○ 使用する道具が安価。
○ 使用洗剤が環境に良いものを使用。
× あまりきれいにならない。(薬品の力が弱い、物理的刺激がない)
× きれいにしようとすると物理的刺激が必要なため、白パッドでこするが、よく見ると クロス表面を相当傷めている。
× 酵素洗剤の薬剤効果が出るのに時間がかかる。施工時間の短縮が出来ない。
× 機械がないため、洗剤を塗布するシャンパーがすぐに汚れる。何度も洗剤を交換するか、 シャンパー自体を洗わないと重汚染の現場ではムラになる。
× 責任施工と称して請施工を建前とするところがある。
④ スチーム洗浄機を用いる方式
○ スポット的なシミ汚れの除去には効果的。
× 全面洗浄には不向き。
× かけすぎると、熱ではがれの原因になる。
(むしろ最近では、内装業者がクロスをはがすために使用。
⑤ 過酸化水素の洗剤をローラー等で塗布する手作業の洗浄方式
○ 機械がないので、洗剤も道具も比較的安価で導入できる。
○ 施工手順も簡単に見える。小さい面積ならOK!
× 過酸化水素も漂白剤なので、取扱に注意が必要。(薬剤の効果を際立たせるために、 濃度が30%以上のものを使用することが多い。)
また、部屋全体の場合は、床やクロス以外の部分の養生が必要。
× 機械がないので、全て手作業。広い現場になると上記の養生も含めて施工時間がかかるし、最後の拭き取り作業などで施工する人の労働負担が大きい。
以上が今までの壁面洗浄の主なやり方ですが、それぞれ一長一短です。
それでは、以下に弊社の壁面洗浄システムを紹介いたします。
フォンシュレーダーVS3壁面用自動洗浄機
A:システムとして完成している
① 壁面洗浄システムとして、機械類、洗剤類、マニュアル等がセットされているので、洗剤は何を使おうか,などという心配がいりません。
② 一式導入すれば、その日から即、施工スタートできます。
③ システム導入により施工の均一化、標準化が図れます。
B:マシーンが使いやすい
④ 機械本体から洗浄グライダーに電磁ポンプで洗剤が送られ、手元のボタンを押せば必要なだけ新鮮な洗剤が出てきます。壁面をビショビショにすることもなく、大変な養生も要りません。また手作業のように、バケツの洗剤にウエスをつけて、絞って、という 面倒な動作が不要ですから作業が早くて楽です。
⑤ 洗浄グライダー、拭き取りグライダーともに“コテ”のような形状で力が均等に加わるためムラができません。また面積が広いので、作業効率がよく施工時間の短縮につながります。施工に慣れてくると、ワンルームの壁面、天井の洗浄が午前中で終了します。
⑥ グライダーにつけるパッドは特殊な織りでできているため洗浄面に糸ケバを残しません。 汚れてきたらマジックテープ式なので新しいパッドにワンタッチで交換できます。
⑦ 非常にシンプルな構造なので故障等のトラブルがまずありません。
⑧ 重量わずか9kg。女性でも手軽に運べます。
⑨ オプションのアダプター等をつけることにより、2人同時作業が可能です。
⑩ 高所作業用のポールセットもオプションで用意。足場を組めない場所でも施工可能になります。
⑪ オプションのブラシグライダーを洗浄グライダーに取り付けることにより、マンションの共用部のボーンタイル、表面化工してある石材、ステンレスなどの金属表面等、(水をはじき、塗装部分が洗剤に侵されないものならOK)表面の凹凸があるものの洗浄が可能になります。VS3の常に新鮮な洗剤が、必要な分だけ出せる特徴を活かせば、工夫次第ではビニールクロスの他にも色々な素材の洗浄に応用が利くと思われます。
C:専用の洗剤類が抜群の効果を発揮
⑫ 洗剤類は、米国の厳しいPL法をクリアした、環境に良いものばかりです。
(弊社洗剤には環境に考慮して塩素は使用しておりません。)
⑬ 洗剤類が揃っているので相当な汚れまで対処できます。
・B4 前処理剤
施工前にスプレーして油汚れやタバコのヤニを浮かせます。
・ プレリム
これも前処理剤ですが、特に冷蔵庫やテレビの後ろなどのカーボン汚れに効果を発揮します。
・ PW25 壁用洗剤
中にコート剤が含まれていて、ツルッとした仕上がりになります。また再汚染しにくくなり、次回の洗浄作業は非常に楽になります。
・ PW28 反応促進剤α
壁面用洗剤に加えてpHを高めて、強い汚れに対処します。
・ コーヒーブレイク
壁面に付いたコーヒー、醤油などのシミに効果を発揮します。
・ 黄ばみ消去剤
壁面の黄ばみを消去し、また仕上がりの白さを増します。
・ 尚、どうしても漂白効果が欲しいという場合には、酸素系の漂白剤がベースの洗剤「パワーパック」も用意しております。
⑭ カーボンなどの表面に付いた汚れをこすり取るのに効果的なスモークオフスポンジもオプションにあります。
⑮ ㎡当たりの洗剤単価は、メーカー推奨希釈倍率で20円弱見当です。
⑯ このシステムは、水をはじく素材の洗浄を想定しておりますので、
・ ビニールクロス(ジュラク壁風のクロスも可能)
・ スチールのパーテーション(スチールのロッカー、机も可能)
・ 表面加工された石材
・ 油性ペイント処理された壁面(マンション共用部の内壁)などが洗浄できます。
⑰ よくある質問ですが、布クロスの洗浄には不向きです。 布クロスは、濡れると輪ジミができたり、裏地が剥離するからです。この場合は、別の方法をお教えいたします。
D:施工の流れ
① 洗浄する壁面の床をビニールシート等で養生。
② スポットリンサーのウォールツールのブラシで壁面をバキューム。
③ 汚れのきついところは、スモークオフスポンジで汚れを擦り取る。特に、テレビや冷蔵庫の後ろ部分の黒いカーボンをよく取っておく。
④ 壁面の左下側からB4前処理剤をスプレーで噴霧。汚れがきつい場合は、同時に柔らかい ブラシで表面を軽く擦りながら、前処理剤を壁面になじませる。
⑤ VS3の洗浄グライダーで洗浄。この作業を左から右、下から上に行う。
⑥ 黄ばみ消去剤を入れた温水をリンス液として、スポットリンサーのウォールツールを用いてリンス。
⑦ 拭き取りグライダーでふきあげ。
⑧ 全体洗浄後、残ったシミがあれば、シミ除去剤を用いてきれいにする。
その後、⑥⑦で仕上げる。
(汚れの状況により、軽度の場合は、④、⑤、⑦の施工のみで充分きれいになります。)
まとめ
弊社では、壁面(ビニールクロス)の洗浄に関して汚れと変色の度合いにより、あまりに経年劣化し変色したものは内装による張替えをお勧めし、程度のよいものは洗浄施工するという二刀流を基本に考えております。
また、洗浄施工につきましては洗剤(化学的作用)と機械(物理的刺激)によるトータルなシステムで考えています。洗剤の効果を最大に引き出す機械と機械の物理的刺激を最良に助ける洗剤のコンビネーションにより、どなたでも失敗がなく、早く簡単にきれいに施工ができることを念頭に考えているからです。
弊社のシステムにも長所だけでなく、もちろん欠点といえるものもあります。
例えば、
×手作業的なものと比べると、初期投資額が高いかもしれません。
但し、フランチャイズ形式の法外な価格とは違い実質的なものですし、リース契約をしていただれば、月々のお支払は現場数さえこなしておられれば、問題はありません。(洗剤の平米当たりの原価代は、多くて20円以下です。)もちろんどうしても初期投資の軽減を図られたい場合は、洗剤のみでもご提供できますし、その場合の使用方法等のアドバイスも出来ます。
×手作業的なものに比べると、機械洗剤の量が多いのでかさばる。
クロス洗浄に関しまして、どういったシステムをご導入になるかは、あくまでも選択される方のご自由ですが、壁面、天井の洗浄は、床面の洗浄とは異なり、作業自体が、基本的に結構キツイものがあり、
・大量の物件を連日のように処理していかれる場合や、
・ありとあらゆる汚れの状況に対処していかれるような場合は、道具としての機械を、システムでご導入されることをお勧めします。
見た目の初期経費削減も大切ですが、長い時間でみてみると、施工される方の労力の軽減、施工時間の短縮、仕上がりの完成度、バラつきのなさなどの総合的な観点でお考えの場合は、機械と洗剤とノウハウが揃ったトータルなシステムが有利なことは、ご理解いただけるものと思います。
さまざまな観点から、弊社のVS3壁面洗浄システムのご導入をご検討いただければ幸いです。
きっと御社のお仕事に大きく貢献できるものと確信しております。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
追伸その1 クロスの日焼け等の変色問題について
クロスの洗浄施工で表面はきれいになりますが、経年劣化し、日焼け等で変色したものは、苦労して洗浄してもあまり変わりません。
これは、長い時間をかけて少しづつクロスの表面が、油汚れ、タバコのヤニ汚れに加えて、紫外線や、熱などにさらされて、中に中にと変色しているものですから、いわばクロスの表面だけではなく、中に染み込んだ変色と解釈すべきです。(これは、ボールペンやマジックインキの落書きも同等です。)
施工業者やメーカーの中には、漂白剤を使用することにより「どんな汚れも、焼け、変色も回復させる。」とか豪語する方もおられますが、弊社では、それは暴論だと考えます。
理論的に説明させていただくと、いくら強い塩素や過酸化水素等の漂白剤を使用しても、(クロスの表面は漂白できたとしても)、クロスの内側にまで浸透する漂白剤はないので、程度のひどい日焼け等の変色は回復できません。
さらに、強い漂白剤を使えば使うほど、施工を担当する方や、環境に大きな負荷がかかることも否定できません。
基本的には前述の通り、張り替えをお勧めしますが、場合によっては予算や、施工工期、施工 時間などの問題で、張り替えも難しいことがあります。「こういった中間的な現場を何とかクリアー したい。」というご要望には、クロスを洗浄した上に、特殊はコート剤をコートする「VSJクリーンコ ート施工」を弊社ではお勧めしています。
「VSJクリーンコート施工」は、すでにクロスを洗浄しておられる方に紹介しております施工方法ですが、この施工をプラスすることにより、一度貼ったクロスを、洗浄施工、クリーンコート施工、洗 浄施工、クリーンコート施工と繰り返して施工することで、クロスの寿命を最大限延ばすことができ、それでもダメなら張り替えという流れで、お部屋のクロスを長期間メンテナンスできることが最 大のポイントになります。
さらに、前述の日焼け変色の問題もクリアしますし、環境負荷の高い漂白剤を使用する必要もなくなります。
弊社お勧めの特殊なコート剤は、有機溶剤を使用せず、臭いがありません。色も384色(淡彩色で140色)出せます。なかなかの優れものです。
追伸その2 コーティングビジネスに関して
クロスの洗浄の問合せとともに多いのが、コーティングビジネスに関してのご質問です。
背景には、クロス洗浄と同様に、クロスのコーティングにおいても、さまざまな形のフランチャイズ形 式で営業合戦が展開されているからのようです。
そして、コーティングの中にも大きく分けて、二通りのものがあり
A. 一つはクロス染色、クロスカラーコーとかト呼び名はさまざまですが、要はクロスの上に有色のコート剤を塗布するもの。
B. もう一つは、光触媒に代表される無色のコート剤を塗布して付加価値効果を謳うもの。
が上げられます。
これを読まれる方もすでにうなずいておられると思いますが、「コーティングビジネスなるもので、いいうわさはあまり聞かれない」ということです。
宣伝のわりには、結果が伴わないことが多く、また中には悪徳は便乗商法を展開している方もおられる様で、「だまされた」とか「お金を取られただけだ」とか言う話ばかりが耳に入ってきます。
コーティングビジネスに関する弊社の見解を述べますと、このビジネス自体は非常に可能性があると思われます。なぜなら、お客様(エンドユーザー)が求める要望が、もうその段階まできているからにほかなりません。
但し、コーティングビジネスという形でくくるのではなく、むしろ付加価値施工としての位置付けと見なしたほうがわかりやすいと思います。
つまり、A.のカラーコートにせよ、B.の触媒施工に代表されるクリアのコートにせよ、あくまでも洗浄施工が基本で、その上にプラスアルファーの付加価値施工としてコーティングをかけるというのが筋道であって、コーティングのみの施工というものは本来(新築物件ならまだしも)リニューアル物件においては、ありえないと言っても過言ではないでしょう。
なぜなら、付加価値施工をする場合、クロス自体が汚れているならば、まず洗浄施工をかける必要があり、洗浄自体がうまくいかなければ、そこにプラスされる付加価値もうまくいかないことになり、結果として「カラーのコートをしたがムラになった」とか、「光触媒を打ったが効果が出ない」とかいう事になるように思います。
追伸その3 クロスのカラーコート、カラー染色について
前述のカラーコート、カラー染色に関しましては、《追伸その1》でも述べましたように、フランチャイズ方式の各社が、激しい営業合戦を展開しているようですが、高額なフランチャイズ方式のところに加盟しなくても、弊社で紹介しております、「VSJクリーンコート施工」(登録商標申請中)を学んでいただければ、「VS3壁面用洗浄システム」で洗浄施工した上に、高機能のカラーコート剤を塗布することにより、クロスの上にもう一枚クロスを張ったような仕上がりが望めます。
弊社の「VSJクリーンコート施工」の特徴は、汚れや臭いの元を洗浄してからコーティングするので、仕上がりが違うこと。また、コート剤の異臭がなく、初めての方でも塗りムラが出来ず、色もクロス用の淡彩色で140色ご用意できますので、現場での調色が不要です。
また施工後、表面が汚れたら、再度、洗浄あるいは洗浄コートできるので、一枚のクロスの寿命を極端に伸ばすことが可能です。
追伸その4 クロスの付加価値施工について
前述の光触媒等の付加価値施工に関してですが、これも高額なフランチャイズに加盟しなくても、弊社で必要な触媒を数種類用意しておりますので、まずVS3壁面用洗浄システムで洗浄施工した上に、高機能な触媒施工も可能です。
また、光触媒施工を前面に押し出すよりは、弊社の場合は、防汚効果、除菌消臭効果、防カビ、防虫効果などを謳うほうがより現実的ですし、効果の程もわかりやすいので、お客様のニーズに直結した付加価値施工を提供することが得策と考えております。
そういう意味での付加価値施工として、弊社では前述の触媒に限らず、臭いに関する吸着分解剤や、用途別の消臭剤、あるいは防汚剤等もご用意できますので、洗浄後の付加価値施工も自信を持って対応できるように、指導させていただいております。
VS3 壁面用クリーニングシステム
(1) VS3 |
壁面用自動洗浄機 本体 付属品(メジャーカップ大小、かくはん棒) |
(2) W848 |
クリーニングパッド(12枚入) |
(3) C1105 |
B4 前処理剤 |
(4) PW25 |
壁用洗剤 |
(5) PW28 |
反応促進剤 α |
(6) C1102 |
黄ばみ消去剤 |
(7) C1659 |
プレリム(カーボン除去用) |
(8) C1719 |
コーヒーブレイク |
(9) C1715 |
ジトゴ(オイル、靴墨等の除去用) |
(10) F3249 |
スモークオフスポンジ |
(11) 5B |
パイプヒーター(1kw用) |
(12) AW204 |
アダプター(2人同時作業用) |
(13) W846 |
洗浄グライダー |
(14) W847 |
拭き取りグライダー |
(15) W845 |
ブラシグライダー |
(16) 040 |
スポットリンサー(ウォールツール付) |